今回はボール盤の仕様についてご紹介します。
ボール盤とは、台状のテーブルにドリルで穴あけ加工する素材を固定し、回転する主軸の先端に取り付けたドリルやリーマを回転させ、素材に近づけて穴あけ加工を行う工作機械のことをいいます。穴あけや中ぐり(穴を広げること)に特化した工作機械となります。
目次
加工能力の仕様
ボール盤の加工能力は、穴あけ可能なドリルの最大直径サイズになります。
[ φ13mm ] のように直径の加工能力をφの記号を使って表します。卓上ボール盤で小さい穴(~φ13mm)をあける場合は、ドリルチャックにストレートドリルを装着して加工します。
φ20mm以上の穴あけをする場合は、より保持力が強力なテーパーシャンクドリルを使うのが一般的です。
これは芦品鉄工所のボール盤ですが、この機種は高速モードと低速モードの切り替えができるので、高速モードだとφ10mm、低速モードだとφ13mmまでの穴があけれるということです。
主軸回転数
ボール盤の主軸回転速度をRPMという単位を使って表記します。
機種によってはmin-1と表記されることもありますが、1分間あたりの回転数ということでRPMと同じ意味です。
ボール盤の主軸回転数を変更する場合、本体上部の蓋を開けてプーリーにかかっているベルトを付け替えて変更します。
汎用旋盤やフライス盤ではレバーの切替で速度を変更できるのですが、ボール盤は特殊で手動操作になります。
テーブルの仕様
ボール盤のテーブルには丸型と角型があります。
丸型のメリットとしては、角型よりもテーブルに逃がし穴が多いため加工素材の取り付け自由度が高く、バイスなどの固定装置を使わなくても直接逃がし穴に固定することができます。
角型のメリットとしては、丸型よりも剛性が強くバイスで強力に固定することができます。テーブルが前後左右に可動するタイプのボール盤は角型になります。
メーカーによって丸型か角型かに分かれるので、用途に合わせて選択します。
電源の仕様
ボール盤の電源は、単相100Vと三相200Vの機種に分かれます。
卓上ボール盤など小さな穴をあける機種は単相100Vの機種が多く、1.5mm以上の大きな穴をあける場合はよりパワーが必要なので、ほぼ三相200Vになります。
タッピング(ねじ切り)をする場合も三相200Vが必要な機種が多く存在しています。
主軸テーパーの仕様
ボール盤の主軸には、ジャコブステーパ(JT)とモールステーパ(MT)の機種があります。
ジャコブステーパは、ツーリング工具としてドリルチャックを使用します。ドリルチャックでストレートシャンクドリルを保持し、ジャコブステーパに接続・固定します。
モールステーパは、ツーリング工具としてテーパーシャンクドリルやアーバー、テーパーシャンクコレットチャックなど、テーパ形状のツール保持具を使用します。
ツーリング工具について詳しく知りたい方は、こちらに書いてますのでご覧ください。
主軸上下移動量
主軸が上下に移動できる最大距離をmmで表します。
ドリルで切削できる穴の深さ最大量に関係します。
オプション機能の仕様
タッピング機能
ボール盤の主な役割はドリルでの穴あけですが、タッピング機能のあるボール盤では、ねじ切りをすることができます。
ねじ切りとは雌ねじのねじ山を作ることで、ドリルで穴あけ後、主軸を逆回転させて穴の内側にねじ溝を削っていきます。
このタッピング機能を保持するボール盤をタッピングボール盤ともいいます。
ラジアル機能
ボール盤というと通常は直立ボール盤のことをさし、主軸が垂直にだけ動く工作機械のことを言いますが、主軸頭が旋回するラジアル機能を備えたボール盤もあります。
ラジアルボール盤ともいい、主軸が前後左右上下(XYZ軸)に動くため、素材を動かす必要がありません。
自動送り機能
ボール盤は穴あけをする際、手動でハンドルを下げて主軸を下ろしていくのですが、自動送り機能があると穴の深さや送り速度を設定して自動で加工することができます。
大量に穴あけする場合で素材のサイズや穴あけサイズが決まっている場合は自動送り機能があると便利です。
まとめ
今回は工作機械のボール盤の仕様についてご紹介しました。
ボール盤は旋盤やフライス盤と同様に汎用性に優れた工作機械ですが、よく使われる機械であると同時に事故の多い機械でもあります。
仕様や使い方を理解して安全に作業するように努めましょう。