ドリルの種類|誰でもわかる!工作機械を徹底解説

ボール盤で使用するドリルは、ツイストドリルというねじれ形状のドリルが一般的に普及していますが、用途によって様々なドリルの種類があります。

今回はマシニングセンターやフライス盤、ボール盤の加工で使用するドリルの種類についてご紹介します。

ドリルの構造

ドリルは、ねじれ角がついたボディとシャンクという柄の部分からできています。

ドリルの先端には一般的に118°の角度がついていて、硬材加工用だと角度が広く、軟材加工用だと角度が狭くなっているのが特徴です。

ボディの溝部分は2枚刃のものがほとんどですが、最近は3枚刃も流通しています。奇数刃は削りカスの排出性に優れ、工具の剛性も強いので鋳鉄などの硬い素材に対応するドリルもあります。

ドリルによく似た形状でエンドミルがありますが、ボール盤で使うドリルは立方向に使用するのに対し、フライス盤で使うエンドミルは横方向に切削します。またエンドミルの先端には角度はなく平坦なので、ドリルとは別の工具になります。

ドリルの種類(構造別)

ムクドリル

ボディとシャンクが一体となったドリルがムクドリルです。

ソリッドドリルともいい、1つの素材からでできています。

素材はハイスや超硬合金といった素材が一般的に使用されています。

付刃ドリル

ボディとシャンクが別の素材からできているドリルを付刃ドリルといいます。

超硬合金やダイヤモンド焼結体といった素材は高価なため切削するボディにだけ使用し、シャンク部分はハイス素材にして2つの素材をロウなどで溶着したハイブリッドタイプのドリルです。刃先だけをロウ付けした先ムクドリルというタイプもあります。

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スローアウェイドリル

ドリルの刃先を交換できるタイプをスローアウェイドリルといいます。シャンクの先端に刃先(チップともいう)をねじなどで取り付けるドリルで、刃先の切れが悪くなったらチップを交換するだけで何度でも繰り返し使用できます。

刃先をグラインダーなどで再研磨する必要がないので作業効率、利便性に優れています。

チップの形状も様々で、メーカーによってはチップを共用でき、交換するだけで多様な被削材・穴形状にも対応できるタイプもあります。

ドリルの種類(シャンク形状別)

ストレートシャンクドリル

ドリルの柄の部分(シャンク)が円筒形をしているドリルをストレートシャンクドリルといいます。シャンクとボディの直径サイズが同じ大きさになります。

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テーパーシャンクドリル

シャンク部分の先端の表面を削り取られたような形状のドリルがテーパーシャンクドリルです。正式名称はモールステーパードリルといいます。

MT.0~MT.7の8段階でドリル径の大きさを表し、MT*の数値が大きくなればなるほど、穴径も大きくなります。

テーパーシャンクドリルはドリルチャックに挟むことでホールド性に優れ、回転中の振れが少なく精密に加工することができるため、ボール盤や旋盤、フライス盤で使用するドリルは、このタイプを使います。

 

ドリルの種類(長さ別)

ドリルの長さは、ボディの長さ(L)と直径(D)の比を表すL/Dを使います。このL/Dの値が大きければ大きいほど深穴加工が可能になります。

スタブドリル

L/Dの値が2~3のドリルがスタブドリルです。浅めの穴あけドリル加工に使用します。

レギュラードリル

L/Dの値が4~5のドリルがレギュラードリルです。標準的な長さのドリルです。

ロングドリル

L/Dの値が5~8のドリルがロングドリルです。深穴加工用になります。

スーパーロングドリル

L/Dの値が10以上のドリルがスーパーロングドリルです。メーカーによってはエクストラロングという場合もあります。

ロングドリルやスーパーロングドリルを使う場合は、センター穴ドリルで下穴をあけてから加工します。下穴があることで穴をくり広げる形になり、ドリルの先端を保護することができます。

ドリルの素材

ハイス鋼

高速度工具鋼のことで、ハイスピードスチールを略してハイス鋼といいます。高速回転する工具で使用する目的で作られました。超硬合金が出るまでは、このハイスが主流であらゆる工具で使用されていました。

超硬合金に比べて硬さは劣りますが、超硬合金より折れにくかったりコストパフォーマンスに優れているので、今でもよく使用されています。

超硬合金

炭化タングステンにコバルトやニッケルを混合し焼結したものを超硬合金といいます。この超硬合金を使った工具を超硬工具といいます。

超硬合金の特徴は、硬度が高く高温時の硬度低下が少ないことで精密な加工が必要な切削工具に向いています。

但し、ハイスよりも靱性が小さいため割れやすいことと、タングステンは希少金属なのでコストが高いといったところが注意点です。

上記の他に、サーメットやCBN焼結体、多結晶ダイヤモンドといった超硬質工具素材を使ったドリルもあります。

 

まとめ

今回はマシニングセンターや旋盤、ボール盤、フライス盤などの工作機械で使用するドリルの構造や種類についてご紹介しました。

ドリルと一口に言っても穴サイズや深さ、材質、構造など様々な種類があります。

実際にドリルを探す際には、加工物の材質や穴サイズから次の点を考慮し、最適なドリルを選定します。

・使用するドリルチャックの仕様
・ドリルの径サイズ
・穴の深さ
・ドリルの材質や強度
・加工精度
・切削油の供給方法

上記の項目に優先度をつけて工具を選定することが重要です。

ボール盤とは|誰でもわかる!工作機械を徹底解説