前回の記事でNC旋盤でできること、NC旋盤の構成について説明しました。
今回は、NC旋盤の種類について説明していきます。
目次
NC旋盤の種類
NCタレット旋盤
NCタレット旋盤は、タレットと呼ばれる旋回する刃物台を保持したNC旋盤です。
タレットには複数(10本以上)の工具をあらかじめセットしておき、一つの工程が終わると、タレットを旋回させて別の工具に入れ替え、工具を交換することなく次の加工を開始することができます。
NC倣い旋盤
見本と同じ形にコピーするNC旋盤をNC倣い旋盤といいます。
倣い機能によってコピー元の形を工具に伝え、コピー元と同じような工作物を作ります。
段付き面やテーパー、曲面などの加工が効率的にでき、同じようなものをたくさん複製する場合に適しています。
NC正面旋盤
長さに対して外径寸法の大きい加工物を工作する場合にNC正面旋盤を使用します。
主軸には、チャックよりも大きい面板という工作物保持具を持ち、主に端面の加工を行います。正面旋盤は大きな加工物を対象としますので、通常のNC旋盤よりも剛性の高い主軸を持ち合わせています。
NC立旋盤
NC立旋盤とは、主軸を垂直方向とし、刃物を上から下向きに移動して旋削する機械です。
主軸を垂直にすることで、重量物でも主軸の歪みが少なく精度の高い加工ができます。
外径寸法の大きい物や重量物といった加工物に最適です。
NC自動旋盤
NC自動旋盤は、同じ形の小物部品を大量生産する場合に使います。
供給する材料によって、棒材加工用・素材加工用とに分けれらます。
棒材加工(バーワーク)では、素材の送り、締め付け、タレット旋回、刃物台の送り、突っ切り、主軸回転の正逆や速度の動作を自動化できます。
例えば、長い棒材を加工するとして、部品の加工が終わったら突っ切って加工物を送り出し、更に突っ切った先端から同じ工程に移ることができます。
金太郎あめのように、次から次へと加工と突っ切りを繰り返し、棒材がなくなるまで連続して加工することができます。
素材加工用(チャックワーク)は、素材を自動で供給できる装置を備え、工作物の取り外しを自動化できます。素材をつかんで加工し、終わったら取り外して次の素材をつかむといった具合で連続稼働できます。
自動化で活躍する周辺機器
素材の着脱
オートローダーやバーフィーダー、ロボットアーム、コンベヤーなど、製造ラインで人間の代わりに運搬してくれる装置が自動化には必要です。
最近では省スペースで高速なガントリーローダーが増えています。
ガントリーローダーとは搬送ロボットアームのことで、搬送・セット・回収の一連の動きを素早く正確に行います。
計測・補正
刃物台にタッチセンサーをセットし、NC制御によって加工物の芯出し、位置決め、内外径測定、寸法計測を行い、前工程からの加工物の位置を補正します。
削りかすの処理
自動化で機械を常時稼働させると、削りかすの処理が必要になります。
機械から排出するには、搬送・旋削油との分離・削りかすを固める、といった機能のあるチップコンベア―を導入するといいでしょう。
状態監視
完全に無人で自動化をする場合は、運転状況を監視します。
NC装置の稼働状況をパソコンで監視できるソフトウェアであったり、遠隔カメラによる監視が必要です。
まとめ
前回のNC旋盤の仕組み・構成に引き続き、今回はNC旋盤の種類と自動化で活躍する周辺機器について解説してみました。
同じ旋削加工でも、加工物のサイズ・重量・形状によって使用する機械が異なることがわかりました。
今後は、より主軸回転数の高速化が進み、無人運転についても開発が進んでいくと予想されます。工具の交換速度や各軸の早送り速度など、切削していない時間の短縮が進んでいくことでしょう。
次回は、NC旋盤でできる加工の種類について解説してみたいと思います。