NC工作機械では、ほぼすべての加工を自動で行います。
その動作はNCデータによって指令されます。
NCデータはNCプログラムという指令コードをテキストで順に書き連ねていきます。
今回はそのNCプログラミングの基礎についてご紹介したいと思います。
複雑な加工でなければそれほど難しいものではないので、これからNC工作機械に携わる方は理解しておきましょう。
目次
事前準備
NCデータを作成するにあたって、事前に確認しておく項目は次の通りです。
使用するNC工作機械の種類を確認する
使用するNC工作機械によって加工方法やNCプログラミングの指令コードが異なってくるため、機械の種類を確認しておきます。
使用する工作機械の動作、加工方法は最低限の基本知識として理解しておきます。
例えば、NC旋盤であれば旋盤加工の動作を、マシニングセンターであればフライス加工の動作の基本を抑えておきましょう。
各種条件を決める
工作物の取り付け方、加工に必要な冶具の選定、切削手順を決めておきます。
切削速度、切り込み量、送り量といった切削条件も決め、おおよその加工時間を把握しておきます。
NCデータの作成方法を決める
NCプログラミングには、マニュアルプログラミングと自動プログラミングがあります。それぞれの特徴を説明します。
マニュアルプログラミング
マニュアルプログラミングでは、XYZ軸の座標、移動量を計算して座標計算シートに記入します。
各工具の工程は、プロセスシートに記入します。
プロセスシートは表形式になっており、1行に1工具づつ記入していきます。
これらのシートを元にNCデータを作成していきます。
作成方法はパソコンで作成する方法やNC操作盤から作成する方法があります。
自動プログラミング
自動プログラミングの種類には、CAD/CAMシステムを使ったものや、NC装置のAI機能を使うものがありますが、ここでは一般的によく使われているCAD/CAMシステムの自動プログラミングについて説明します。
CADとはコンピュータを使用して設計や製図を行なうシステムのことで、CAMとはCADで作られた製図を元に加工プログラムを作成し、工作機械にプログラムを渡して実際の加工が行なわれるシステムのことをCAD/CAMシステムといいます。
多種類の複雑な加工を行う場合は、CAD/CAMシステムが使われます。
自動プログラミングは、マニュアルに比べて次のようなメリットがあります。
・プログラム入力間違いなど人的ミスを減らすことができ、正しいNCデータが作れる
・作業人員を省力化でき、他の作業に回すことができる
・NCデータ作成に要する時間が短時間で済む
・複雑な加工でも短時間でNCデータを作成できる
NCプログラムの作成
事前準備が終わったらNCデータを作成するためのNCプログラミングを行います。
基本的な作成手順は次の通りです。
座標系の設定
NC工作機械の座標系を設定します。
座標系とは基本的には XYZ の3軸のことです。
5軸加工機械の場合は、これにBとC軸の回転系軸が加わります。
使用例)G90 G00 G50 X120 Y125 X200
NCのGコードとは|誰でもわかる!NCプログラムを徹底解説|工作機械のいろは
加工の準備指令
工具の回転方向や回転数、切削油の噴射の量・時間などの準備指令を設定します。
使用例)M03 S1000
NCのMコードとは|誰でもわかる!NCプログラムを徹底解説|工作機械のいろは
移動指令
図面通りの形状となるように工具を動かす指令を出します。指令する方法は、アブソリュート(絶対値指定)とインクリメンタル(差分・相対値指定)があります。
アブソリュートとは、移動の終点を絶対値の座標で指令します。
インクリメンタルとは、移動の終点を現在地点からの移動距離で指令します。
使用例)G90 G00 G50 X50 Y10 Z20 F500(アブソリュート)
G91 G01 Y2.0(インクリメンタル)
加工の終了・準備指令
工具の回転方向や回転数の指令をキャンセルします。
使用例)M09
加工の終了指令
加工の終了指令と同時にプログラムも終了します。
使用例)M30
まとめ
今回はNC工作機械で使用するNCプログラムの基礎についてご紹介しました。
実際に使用するNC工作機械によって、NCプログラムの指令方法が決まっています。
NC旋盤やマシニングセンターはもとより、NC研削盤やNCレーザー加工機、NCワイヤーカット、射出成型機などNCを使用する工作機械は多岐にわたります。
座標系の考え方は基本的に同じですが、指令方法は各機種のメーカーによって異なってくるので、機械に付属するマニュアルを参照してNCデータを作成します。
(正確には、NCメーカー[FANUC/Mazatrolなど]やバージョンによって変わってきます。)