目次
ボール盤とは
木材や金属素材に穴を開けたり、穴を堀り広げるための工作機械をボール盤といいます。
台状のテーブルに穴あけ加工する素材を固定し、回転する主軸の先端に取り付けたドリルやリーマを回転させ、主軸を素材に近づけて穴あけ加工を行います。
旋盤やフライス盤、マシニングセンターなどでもドリルでの穴あけ加工ができますが、穴あけに特化した機械がボール盤です。
ボール盤の種類
直立ボール盤
床に据え付けられ、直立したコラム(柱)の上部に主軸がある立型のボール盤を直立ボール盤といいます。
主軸が上下に動き、素材を動かして位置決めを行い穴加工を行います。
一般的にボール盤というと直立ボール盤のことを指します。
主軸を素材に近づける送り動作は、手動・自動のどちらもできます。
直立ボール盤
(株)キラコーポレーション KRTGシリーズ
ラジアルボール盤
直立ボール盤の機能に加え、主軸頭が旋回できる機械をラジアルボール盤といいます。主軸が前後左右上下(XYZ軸)に動くため、素材を動かす必要がありません。
2メートル以上の比較的大きな素材にも対応できる機種もあります。
ラジアルボール盤
(株)東亜機械製作所
卓上ボール盤
卓上ボール盤は、作業机の上に設置できる小型のボール盤です。
主軸が上下に動き位置決めをしてから加工します。直径13mmくらいまでの穴を開けることができます。
卓上ボール盤
(株)マキタ TB131
多軸ボール盤
主軸を多数保持したボール盤で、同時に複数の穴を開けることができます。2軸から多いものだと30軸以上のボール盤もあります。
汎用型の機種は少なく、工作物に合わせて専用機として販売しているメーカーもあります。
多軸ボール盤
多頭ボール盤
多軸ボール盤は、1個の主軸頭に複数の主軸を保持して同時に穴あけを行うものですが、複数の主軸頭で共通のテーブルを使い、穴あけ,座ぐり,ねじ立てなどの加工を順番に行えるようにした機械を多頭ボール盤といいます。
多頭ボール盤
深穴ボール盤
通常のボール盤よりも深い穴を開けるためのボール盤です。
深穴加工機、ガンドリルとも呼ばれます。
ガンドリル(GunDrill)の名前の通り、かつては小銃や猟銃の穴を開けるために開発された機械です。
深穴ドリリングマシン
タレットボール盤
複数の工具を装備できる回転式の刃物台(タレット)がある機械です。
タレットにドリルをあらかじめ複数セットしておくことで、工具を取り換える手間がかからず時間を短縮できます。
穴あけ~ねじ切り~座ぐりなど、ボール盤で連続加工する場合に向いています。
NCボール盤
ボール盤にNC(数値制御)装置を取り付けた機械で、穴の広さや深さなど、プログラミングされた順序に従って、自動的に穴あけ加工を行います。
難しいNC操作をしなくてもタッチパネルでNCを操作できる機種もあります。
NCボール盤
ボール盤でできる加工
ボール盤で使用するドリルの種類について知りたい方は こちら をご覧ください。
穴あけ加工
ドリルを使って素材に穴を開けるボール盤の基本的な使い方です。
素材を貫通したり、予め設定した深さでの穴あけ加工を行います。
穴の深さが直径の4倍以上ある場合の加工を深穴あけ加工といいます。
リーマ加工
ドリルであけた穴は粗く、真円度の精度も低いため精密に仕上げるにはリーマという切削工具を使って穴の内部を削ります。
ドリルと同じように回転しながら穴の内部に送り、内面を0.1mmくらいを削り取っていきます。
ねじ切り加工
あけてある穴に対して、タップという切削工具を使ってメネジを切る加工のことをねじ切りといいます。ボルトが通るネジ山を作ることです。
ねじ切りは、タップ立てやタッピングともいいます。
中ぐり加工
あけてある穴の内径を広くする加工を中ぐり加工といいます。
中ぐりバイトという切削工具を使って加工します。
座ぐり加工
2段の穴で入り口付近が広くなっている穴加工を座ぐり穴といいます。例えば、ボルトの頭部を素材に埋め込むためにネジ穴とボルトが収まる穴の2段に穴を設けるということです。
まとめ
今回は穴をあけたりあけた穴を加工する機械、ボール盤についてご紹介しました。
ボール盤は旋盤やフライス盤と同様に汎用性に優れた工作機械ですが、よく使われる機械であると同時に危険の多い機械でもあります。
素材は万力などでしっかり固定し、ドリルが完全に止まるまで手を入れないなど、日ごろから安全に気を付けて作業することが重要です。