旋盤のメンテナンス|誰でもわかる!工作機械を徹底解説

旋盤をよりよい状態にしておくことは、優れた製品を作るためにとても大切なことです。

作業前や作業終了後には必ず旋盤をチェックし、完全な状態を保つようにしましょう。

今回は旋盤のメンテナンスチェック項目について解説します。

旋盤の手入れで必ずやること

旋盤のオーバーホールや痛んだ箇所の修理は専門業者でないとできませんが、旋盤の日常の手入れは難しいことはなく、基本的には切屑を取り除くことと、注油をすることです。

こまめな清掃と注油をしっかりしておけば、使い方を間違えない限り機械は長持ちします。

このとき、心押し台は右端に固定し、刃物台は手前に寄せ、往復台は右端に寄せておくということを習慣づけましょう。

 

機械と周辺の掃除

精度の維持や、旋盤を故障させないためにこまめな清掃は欠かせません。

作業を始める前や切屑が溜まったら、旋盤とその周辺を掃除します。

掃除の手順は次の通りです。

(1) ブラシや手ぼうきで、旋盤の上側から切屑を払い落とし、切屑を取り除きます。

(2) ウエスで旋盤の上側から拭いていきます。

(3) ベッド上に露出している滑り面に薄く油を塗っておきます。

 

摺動面周りの手入れ

旋盤の摺動面は製品の精度に関わるとても重要な箇所です。

この摺動面の手入れを怠ると、刃物台や送り台(縦横)の送り機構にキズがついたり、サビが付着して思うような精度が出ないことになります。

アルミなどのやわらかい素材だと切屑が摺動面に入り込んで取れなくなってしまうこともあるので要注意です。

摺動面の清掃手順は次の通りです。

(1) ブラシや手ぼうきで、大きな切屑を取り除きます。

(2) ブラシではとれないような細かい切屑は、油砥石で優しくこすると取り除けます。

(3) ウエスなどで古い油分を拭き取ります。

(4) 新しいオイルを注油し、刷毛などで均等になるように広げます。指の腹で伸ばしていってもいいと思います。

摺動面に注油するオイルの種類は、VG63番あたりを使用します。

摺動面は、横送り面、縦送り面、刃物台の3か所にあります。

 

オイルの給油

旋盤の動力部や可動部付近にオイルキャップ(押すと凹む玉)があるので、油差しの先端で押し当てながら注油します。

オイルはやわらかすぎるとすぐに落ちてしまい、逆に固すぎるとオイルがまわりに行き渡らなくなります。オイルキャップへの注油は一般的に、VG68番を使用します。

私のワシノ機械LEOでは、オイルキャップは全部で14箇所ありますが、機種によって変わってくるのでオイルキャップの場所を把握しておきましょう。

給油の頻度は、1日5時間以上稼働させる場合は毎日注油、たまにしか使わない場合でも最低月1回くらいは注油しましょう。

 

旋盤チャックの手入れ

旋盤のチャックにはグリスを注入する箇所があるので、グリスガンでグリスを注入します。

1日5時間以上旋盤を使う場合は毎日、たまにしか使わない場合でも1週間に1回は注入します。注入頻度が高いと思いますが、旋盤チャックは高速で回転するのでグリスは遠心力で飛び散ってしまうためです。

注入する量はグリスガンでワンプッシュ程度でいいと思います。

 

旋盤チャックは3ツ爪や4ツ爪が主流ですが、チャックの爪に切屑が入り込んで爪の動きが悪くなることがあります。

グリスの注入はきちんとしてるけど爪の動きが悪くなったときは、切屑が入り込んでいることが考えられます。

チャック自体はシンプルな構造で、部品7点くらいで構成されているので、分解して爪に入り込んだ切屑を取り除きましょう。

 

まとめ

今回は汎用旋盤の日常的なメンテナンス方法についてご紹介しました。

旋盤を完全な状態にしておくことは、優れた製品を作るために大切なことで、旋盤を長持ちさせるための秘訣でもあります。

今も50年以上前に作られた旋盤が活躍しているのを考えると、当時の旋盤工の手入れがしっかりしていたからだと思います。

我々も先人に倣い、工作機械をメンテナンスして次の世代に引き継いでいけるといいですね。