ラップ盤とは|誰でもわかる!工作機械を徹底解説

ラップ盤とは

フライス盤や研削盤などの工作機械で精密に加工された素材の表面を、さらに平坦に仕上げる最終表面処理機械がラップ盤です。

定盤の上にラップ剤を散布し加工物の表面を押しつけて擦る機械で、ラップ仕上げともいいます。

このラップ仕上げは、一昔前は定盤とラップ剤だけを使った高い技術のいる職人技でしたが、現在は精度が高く大量生産ができるラップ盤が使われています。

ラップ盤は、より精密さが求められるブロックやゲージを製造する際に使用されています。

砥石を使った研削盤の精度も優秀ですが、ラップ盤はさらに精密な精度を出すことができ、平面を出す技術においては、ラップ盤が最良といえるでしょう。

 

ラップ盤の種類

ラップ盤は大きく分けて、両面ラップ盤と片面ラップ盤に分かれます。
両面ラップ盤は加工物の上面と下面を同時に加工する機械で、片面ラップ盤は下面だけを加工する機械です。

両面ラップ盤

両面ラップには、2Way、3Way、4Way方式があります。

Wayとは駆動(回転)する軸の箇所を指し、駆動軸とは、上定盤下定盤、素材を格納するキャリア、キャリアを自公転運動させるための中心にある歯車(サンギヤ)、キャリアの外周にある内歯の歯車(インターナルギヤ)の4箇所があります。

2Way方式

上定盤と下定盤は駆動せず、サンギヤとインターナルギヤでキャリアを自公転させる方式です。

モーター数は1個、または2個です。主に金属やセラミックの加工で良く使われています。

2Wayラッピングマシン

戸上工業

3Way方式

3Way方式のラップ盤は、インターナルギヤが固定される機械(上定盤、下定盤、サンギヤが駆動)と、上定盤が固定される機械(下定盤、サンギヤ、インターナルギヤが駆動)があります。

どちらの場合もモーター数は2個、または3個で、主に水晶や金属、セラミック、硝子、シリコンなどの加工で良く使われています。

3~6BN/F[3モーター]

浜井産業

 

4Way方式

上定盤、下定盤、サンギヤ、インターナルギヤのすべてが駆動するラップ盤です。

モーター数は2個、3個、4個の機械があり、4モーター型は素材の上下表面のラップ長を一致させることができます。

主に水晶や金属、セラミック、硝子、シリコンなどの加工で良く使われています。

4Wayラッピングマシン

不二越機械工業

片面ラップ盤

素材を保持したリングを定盤の上に固定し、定盤を回転させてポリッシング加工する機械が片面ラップ盤です。

現場ではオスカー、オスカー研磨機とも呼ばれます。

両面は素材の上下の表面を加工しますが、片面は文字通り片側だけを加工します。

片面ラッピングマシン

不二越機械工業

 

ラップ盤とポリッシュ盤の違い

ラップ盤と形状がよく似た工作機械でポリッシュ盤(メーカーによってはポリッシ盤とも)という機械があります。

ラップ盤とポリッシュ盤はどちらも回転する定盤に硬い粒子の砥粒研磨剤を使用して素材の表面を磨きます。

両者の違いは、ラップ盤はポリッシュ盤よりも効率的に所定の寸法に研磨することができます。

ポリッシュ盤はラップ盤よりも加工に時間がかかりますが、ラップ盤よりも表面を平坦にすることができます。

形状精度を保ち、所定の寸法に仕上げる=ラップ盤
所定の寸法に仕上げられた表面の粗さを低減、鏡面化=ポリッシュ盤

工程別だと、ラップ盤で所定の寸法に仕上げた後にポリッシュ盤で鏡面化する、といった流れになります。

 

まとめ

今回は素材の表面を研磨する機械、ラップ盤についてご紹介しました。

記事の内容を簡単にまとめると、人手によるラッピング加工のように熟練の技術を必要とせず高精度の表面加工を行えるのがラップ盤で、さらに大量生産する場合は、両面ラップ盤を使用すると効率的に製造することができる。

更に、金属やセラミックだけでなく、シリコンやガラスといった素材を加工する場合は、両面ラップ盤でも3-Way、または4-Wayを選択するといいということがわかりました。

また折を見て、ポリッシュ盤についても触れていきたいと思います。