非金属素材の性質と特徴(プラスチック・セラミックス)

非金属素材とは金属元素を成分に含まない素材のことで、プラスチックやセラミックス、ゴム、ガラスといった物質があり、電気を通しにくい素材が多くを占めます。

今回はその非金属素材の性質や特徴、使われ方について解説していきます。

 

材料の全体像

まず初めに工作機械で使用する材料の全体像を以下の表で解説します。

金属素材の他に、非金属素材、特殊素材といった種類の材料が存在します。

加工素材金属素材鉄鋼素材炭素鋼
合金鋼
鋳鉄
非鉄金属素材アルミニウム

チタン
マグネシウム など
非金属素材プラスチック
セラミックス
ゴム
ガラス など
特殊素材機能素材
複合素材

次項で上記の各素材について解説していきます。

 

プラスチック

プラスチックとは合成樹脂のことで、熱を加えて素材を軟化し成型して製品を作り出します。プラスチック製品を製造する工作機械は、射出成型機といいます。

プラスチックはペットボトル・バケツ・塵取りなど、我々の生活のいたるところに存在し、国内だけでも1年間で生産される量は1000万トン(2017年)を超えます。鉄鋼は1億トンなので重量にすると10%程度ですが、体積にするとほぼ同等の生産量となります。

プラスチックは金属素材とは対照的な特徴を持っており、重量が軽く(鉄鋼の10~20%未満)、柔らかく着色が可能で、電気を通しにくい加工が容易といったことが挙げられます。

プラスチックは大きく分けて、汎用プラスチックとエンジニアリングプラスチック(エンプラ)とに分けられます。

 

汎用プラスチック

価格が安く、加工がしやすい特徴を持つ汎用プラスチックでは、日用品や工業製品、雑貨など広く使われています。

種類別では、

ポリエチレン(PE)
ポリプロピレン(PP)
ポリスチレン(PS)
アクリル樹脂
ポリ塩化ビニル(PVC)
フェノール樹脂(PF)
ポリエチレンテレフタレート(PET)

といったものがあります。

 

エンジニアリングプラスチック

プラスチックの中でも強度が強かったり耐熱性に優れるなど、特定の機能を強化しているものをエンジニアリングプラスチック(以降エンプラ)といいます。

用途としては、家電製品の内部にある歯車や軸受けといった見えない場所や、サングラスのレンズ、車のヘッドライトカバー、水族館の水槽といった強度を必要とする場所で使われています。

種類別では、

ポリカーボネート(PC)
ポリアミド(PA)
ポリアセタール(POM)
ポリイミド(PI)

などがあります。

 

セラミックス

セラミックスとは焼き物のことで、陶器と関係性のある素材です。

硬い、燃えない、錆びないといった特徴があり、1万年以上の陶器が見つかることもあることから、劣化しにくい性質でもあります。

分類としては、従来からある土や粘土の天然素材を使って焼成するものを旧セラミックス、酸化チタンなどの人口材料を使って焼成するものをニューセラミックス、またはファインセラミックスといいます。

 

ゴム

ゴムは加えた力の方向に伸縮し、元に戻る弾性を持つ素材です。

天然ゴムと合成ゴムがあり、各ゴム素材には次のような特徴があります。

天然ゴム(NR)

ゴムの木から採取される樹液を元に作るゴムが天然ゴムです。ゴムの弾性は、この天然ゴムが最も優れています。

NR天然ゴムシート

 

クロロプレンゴム(CR)

クロロプレンという素材を重ねて製造される合成ゴムです。耐候性、耐熱性、耐油性、耐薬品性は天然ゴムよりすぐれ、加工も容易という特徴があります。

防音・防振用の素材として使用されます。

クロロプレンゴムシート

 

ニトリルゴム(NBR)

ニトリルゴムは、アクリロニトリルとブタジエンとの合成ゴムです。
耐油性、耐摩耗性、引き裂き強度に優れており、ゴム手袋などに使われています。

ニトリルゴム手袋

 

ブチルゴム(IIR)

ブチルゴムは、イソブチレンとイソプレンの合成ゴムです。耐熱性,耐薬品性,耐候性などの環境抵抗性や電気特性も良く、タイヤチューブなどの素材で使われます。

弾性は小さいですが衝撃吸収に優れているため、防振ゴムとしても活用されています。

ブチルゴム インナーチューブ(自転車用)

 

エチレンプロピレンゴム(EPDM)

エチレンとプロピレンの合成ゴムがエチレンプロピレンゴムです。

耐候性、耐水性に優れており、道路や橋梁の防振材で使用されます。また、バルブなどのガスケットやOリング、パッキンにも使用されています。

エチレンプロピレンゴム ガスケット

 

ウレタンゴム(U)

ポリオールとジイソシアネートの化学反応でできる合成ゴムがウレタンゴムです。ウレタン樹脂やポリウレタンともいいます。

耐油性、耐摩耗性に優れており、タイヤや自動車部品で使われています。

ウレタンフォーム

 

シリコンゴム(SI)

シリコンを主成分とする合成樹脂をゴム状にしたものがシリコンゴムです。

耐熱性、耐水性、耐薬品性に優れており、自動車部品や歯科の型取り、美容整形の充填材などで使用されます。

シリコンカップ

 

フッ素ゴム(FRM/FKM)

耐油性、耐候性、耐薬性、耐熱性に優れ、他のゴム素材より抜き出た存在がフッ素ゴムです。フッ素ゴムは、Oリング、オイルシール、パッキン、ガスケットなどの産業製品で最もよく使われている素材です。

アズワン フッ素ゴム Oリング

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