プレス機械の仕様・能力|誰でもわかる!板金機械を徹底解説

先日、プレス機械の特徴や種類について解説しましたが、今回はプレス機械の仕様について、解説したいと思います。※プレス機械とは?という方はこちらの記事をご覧ください。

プレス機械は上下に取り付けられた金型が上下にスライドして次々と製品ができていき、単純な仕組みのようですが、動力や動作も機種によって異なり、様々な仕様がありますのでご紹介いたします。

プレス機械の能力を示す指標

圧力能力

公称能力ともいい、そのプレス機械の最大加圧能力を表しています。N(ニュートン)やtf(トンフォース)といった力を表す単位で機械の銘鈑などに表記されてます。

最大加圧能力でプレス加工することは可能ですが、C型プレス機械ではボディに歪みが発生(口開き)して加工精度が落ちることがあります。そのため、加圧能力に余裕を持たせて加工するのが一般的です。

トルク能力

プレス機械では、下側の金型は固定され、上側の金型が上下に往復運動して加工します。上側の金型をスライドといい、スライドが最も下に降りた時点(下死点といいます)での加圧能力がトルク能力です。

mm(ミリメートル)の単位で表し、スライドの下死点から何mmのところから加圧能力がでるかを示す値でもあります。

仕事能力

スライド(上金型)が1回の運動で放出するエネルギーのことで、連続加工を行う時に参考とする値です。

機械式プレス機の加工ではフライホイールの回転エネルギーをスライドに与え、回転エネルギーが減少したらモーターにより回復して加工します。
仕事能力とは、このモーターの出力量(KW)とフライホイールの大きさによって決まり、高速加工や深絞り加工の際に参考にします。

プレス機械の仕様

プレス機械の能力は、先に説明した3要素(圧力能力・トルク能力・仕事能力)が重要な点ですが、その他にも寸法やストローク数など導入を検討する場合は確認が必要です。

以下では、私が使用しているアマダのC型油圧プレス機械(500kN)の銘鈑に書かれている仕様をいくつか挙げてみます。

ストローク長さ

スライド(上金型)が、1回の往復運動で動く距離がストロークの長さでmmの単位で表します。スライドの上死点から下死点までの距離のことです。

切断加工や打ち抜き加工ではストロークの長さはそれほど必要ありませんので、ストローク長さの短い機種を選定すると生産性が増します。

曲げ加工や絞り加工の場合はスライドを押し込むので、ストローク長さが長めの機種が必要になります。

毎分ストローク数

1分間にスライド(上金型)が上下する回数をSPMという単位を使って表します。
ストロークの長さが短い機械はストローク数は大きくなり、逆にストロークの長さが短い機械はストローク数は大きくなります。

加圧能力が適性であれば、ストロークの長さと毎分ストローク数によって生産性が決まるため、自動化して連続稼働する場合は重要な指標になります。

スライド調整量

スライド位置の調整可能なサイズをmmの単位で表します。

ダイハイトの距離からスライド調整量を差し引いたサイズが、その機械に取り付けることができる金型の最小高さサイズになります。

ダイハイト

スライド調整量を上限にしたスライドの下死点から、ボルスタ(下金型を取り付けるところ)までの距離をダイハイトといいます。mmの単位で表します。

そのプレス機械に取り付けることができる金型の最大高さサイズがわかります。

スライドサイズ

スライド下面のサイズがスライドサイズです。

上側の金型を取り付けることができるサイズのことで、700x600mmのように左右x前後といった表記をします。

ボルスターサイズ

ボルスター上面のサイズがボルスターサイズです。

下側の金型を取り付けることができるサイズのことで、スライドサイズと同様に1000x700mmのように左右x前後の表記をします。

主電動機

主電動機(モーター)で使用する出力電気容量をKW(キロワット)の単位を使って表します。

この値が大きければ大きいほどモーターを動かす力が強くなり、1000kNを超えるような圧力能力の機種では、10KW以上の電気容量が必要な場合もあります。

電気代のランニングコストに関わるので、オーバースペックになりすぎないように注意が必要です。

使用空気圧力

プレス機械に供給される圧縮空気の必要な圧力を使用空気圧力といい、MPaもしくはkgf/cm2といった圧力を表す単位で表記されます。エアーコンプレッサーなどで圧縮した空気がどれだけ必要かを表しています。

空気圧が足りないと、スライドの加圧能力にばらつきが出て加工精度が落ちる要因になるため、余裕を持たせて設計します。

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まとめ

今回はプレス機械の仕様についてご紹介しました。

プレス機械は単純な往復運動の繰り返しのようですが、機種によって様々な能力や仕様があり、稼働させるまでに入念な設計が必要であることがわかりました。

その他にもボディ部分の縦の剛性・横の剛性も加工精度に関わってくるので注意が必要です。プレス機械メーカーによっては、最大圧力能力の半分くらいしか出せないといったメーカーもあります。これはC型プレス機械でよくある口開き(プレス加工時にボディが歪むこと)の危険があるためで、加圧能力に対してボディの剛性が足りてないことが考えられます。