プレス機械の自動化で使う周辺機器|誰でもわかる!板金機械を徹底解説

プレス加工は切削加工や旋削加工に比べて生産性が高く大量生産に適していますが、自動化することで更に生産性が増します。

また、自動化すると材料の取り出しや設置などの危険な手作業が少なくなり、生産性と同時に安全性も高くなります。

プレス機械の自動化は、材料を一定の間隔で移動させるだけですので比較的容易です。

今回は、自動化で活躍するプレス機械の周辺機器についてご紹介したいと思います。

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材料送り装置

板金素材をプレス機械に送り込む装置を材料送り装置といいます。フィーダーともいい、素材を一定の間隔でプレス機械に送り込みます。最近では後述するレベラーとフィーダーが一体となった機種が多いですが、ここではフィーダー単体で動く代表的な材料送り装置のロールフィーダーとエアーフィーダーについてご紹介します。

ロールフィーダー

ロールフィーダーとは上下のロール間に素材を挟み込み、下ロールを所定の送り長さの位置まで回転させて材料を送ります。

機械式のクランクプレスと連動して動くタイプでは、クランクとフィーダーをスイングアームという棒で連接し、クランクの動作に合わせて下ロールが回転します。

エアーフィーダー

ロールフィーダーがクランクと連動して動くのに対し、エアーフィーダーは圧縮空気を動力源として板金素材を送ります。

素材はクランプでつかみ、クランプに設定した移動距離がプレス機へ素材を送る長さとなります。

 

材料供給装置

コイル材を使ったプレス加工では、ドラム状のコイルから材料を供給する必要があります。この装置のことを材料供給装置、またはアンコイラーといいます。

ドラム状から巻きほぐしたコイル素材はたわみが発生します。アンコイラーは、このたわみを制御して必要な量を材料送り装置(フィーダー)に渡します。

ドラムに巻きついたコイル材を巻き戻す機能とたわみを制御する機能(ループコントロール)を備えた装置がアンコイラーです。

アンコイラーには種類がありますのでご紹介します。

リールスタンド

小型のアンコイラーをリールスタンドといいます。小型といっても最近では300kgまで積載可能な機種もあり、設置するだけですぐに使えるのでよく使われます。

リールスタンドはバー式ループ検出器を使い、コイル素材のたわみにバーの先端を載せ、バーが上がったらモーターでドラムの軸を回転させるというものです。

 

マンドレル

300kgを超える重さのコイルを供給するアンコイラーをマンドレル式アンコイラーといいます。単にマンドレルと呼ばれることもあり、大型のマンドレルでは、2トン以上のコイルを保持することができる機種もあります。

ループの検出方法は、バー式のタイプと電気的な検出、光線を使った検出方法といったものがあり、マンドレルの製造メーカーにより様々です。

 

コイルクレードル

リールスタンドやマンドレルはコイルの中心軸を保持しますが、コイルの外側を保持するアンコイラーをコイルクレードルといいます。

コイルクレードルの内面にはピンチロールという2本のロールがあり、このロールでコイル材の先端を上下から挟み込み、ピンチロールが回転することで材料を引き出します。

厚板素材を供給するのに最適ですが、コイル材の表面を保持するので表面に傷がつきやすく、薄板やキズを嫌う加工には不向きです。

 

材料レベラー

ドラム状に巻きついているコイルを巻き戻すと、表面に丸みを帯びたり歪みが出たりします。材料送り装置に渡す前に材料を平坦にしないと加工精度に影響が出るため、レベラーという装置でコイルの歪みを取り去ります。

レベラーの構造は、5~10本くらいのロールで上下から材料を挟み、平坦にしていくという単純な仕組みです。ロールの数が多ければ多いほど高い平坦度が得られます。

最近ではレベラー単体での製品は少なく、レベラーとフィーダーが一体となった製品が主流です。コイルクレードルではピンチロールの前にレベラーが標準で装備されている機種もあり、アンコイラー・レベラー・フィーダーの機能が1台で補えるようになっています。

 

まとめ

今回はプレス機械の自動化で活躍する周辺装置についてご紹介しました。

自動化することで生産性が増すだけでなく、人手を介する作業が少なくなる分だけ人件費も抑えることができ、また金型内に手を入れなくて済むので労災事故の危険性も減るなど、たくさんのメリットがあります。

しかし最近では多品種少量生産の加工が主流になりつつあり、少量生産の自動化は費用対効果を考えると困難なため、まだまだ手作業でのプレス加工というのも必要になってくると考えられます。