バレル研磨とは
ドラム形状のバレル容器に工作物、研磨石、コンパウンド、水を入れ、回転運動や振動を与えて研磨する加工法をバレル研磨といいます。
このバレル容器が運動することで、工作物と研磨石が擦れ合い、工作物全体を研磨します。
工作物の最終工程として、バリ取り、鏡面仕上げ、R付け、スケール取りなどがありますが、
それらを一括で処理できる機械がバレル研磨機です。
遠心バレル研磨機
バレル研磨機の種類
回転バレル研磨機
八角形のバレル容器に工作物、研磨石、コンパウンド、水を入れて容器を回転させます。
回転数が低くて摩擦が少ないため、振動バレル研磨機や遠心バレル研磨機に比べ、時間と手間はかかりますが、安定した仕上がりで精密な研磨を行うことができます。
構造がシンプルで安価なため汎用性が高く、バレル研磨の基本で最も一般的な研磨機です。
振動バレル研磨機
円形のバレル容器をモーターによって振動させ、工作物と研磨石が流動運転を行い、摩擦される事によって研磨が行われる方法です。
バレル容器の容積率が良く、たくさんの加工物を同時に加工することができる量産向けです。
加工中に工作物の状態をチェックできることも優れた点です。
遠心バレル研磨機
バレル容器が6角形または8角形の形状で、容器を公転とは逆方向に自転させ、工作物に高圧な遠心力を与えて研磨します。
遠心バレルの容器は複数個あり、公転・自転を組み合わせた高速回転によって、回転バレルや振動バレルよりも作業効率に優れ、短時間で重切削から精密な仕上げ研磨ができます。
バレル研磨機を導入するメリット・デメリット
各種バレル研磨機について、メリットとデメリットを次の表に比較してみました。
比較項目 | 回転バレル | 振動バレル | 遠心バレル |
加工時間の長さ | 長い | 普通 | 短い |
操作の容易性 | 簡単 | 簡単 | 少し複雑 |
自動化が容易か | 困難 | 容易 | 容易 |
加工中にワークの状態を確認できるか | 不可 | 可能 | 不可 |
適した加工物 | 小物~中物 | 中物~大物 | 小物 |
大量生産に適しているか | 不向き | 最適 | 不向き |
機械の価格 | 安価 | 高価 | 高価 |
まとめ
今回はバレル研磨機について書いてみました。
バレル研磨機で仕上げる加工物としては、機械加工物やプレス加工物などです。
身近なところでは、キーホルダー、スパナ、携帯ケース、ゴルフのドライバーやアルミホイールにメガネフレームなどもバレル研磨機で仕上げているそうです。
鏡面仕上げだけとか、バリ取りだけといった機械は他にもありますが、すべて1台でこなせるバレル研磨機は便利ですね。