目次
ディスクグラインダーとは
主軸の先端に砥石を砥石を取り付け、高速回転で加工する手動電動工具をディスクグラインダーといいます。
ディスク状(円盤状)の砥石を使って研磨・研削・切断加工ができます。現場ではこのディスクグラインダーのことを単にサンダーと呼ぶ職人もいます。
ディスクタイプ以外のグラインダーは、こちらにまとめてみました。
ディスクグラインダーの特徴
金属素材のバリ取り、研削、研磨、切断など、機械の先端に取り付ける研削砥石を交換すれば様々な加工に使うことができます。
例えば、鉄筋の切断から溶接箇所の平坦化、錆とりからバリ取りまで、ディスクを交換して1台で加工できるので、工事現場やDIYで重宝されています。
コードレスタイプが発売されていますが、主流はコードタイプのようです。
ディスクグラインダーの選び方
ディスクグラインダーは、研削・研磨・切断の用途に合わせて機種を選定する必要があります。
金属素材の研削・研磨に使用する
金属の研削・研磨に使用するグラインダーは、高速回転型の機種を選定しましょう。
回転数は12000min-1あたりになります。この高速回転型は最も普及しており、ディスクグラインダーというと高速回転型ととらえる人もいるようです。但し、回転数が早いために削りすぎてしまうこともしばしばあります。
荒削り用として高速回転型を使用し、低速回転型で鏡面仕上げするといった使い方がいいでしょう。
マキタ 高速回転型ディスクグラインダー
硬い素材の切断に使用する
コンクリートやレンガ、石材といった硬い素材を切断したい場合は、低速回転の高トルク型のディスクグラインダーを使用します。
回転数は9000min-1あたりになります。高トルクとは、高負荷の状態にも耐久性があるということです。
高回転型で硬い素材を切断するとモーターが故障する原因にもなるので、素材に応じて正しい機種を選定するようにしましょう。
リョービ 低速回転高トルク型ディスクグラインダー
様々な用途に使用する
研削から研磨・切断など様々な場面でディスクを交換して使いたい場合は、無段変速型のディスクグラインダーがおすすめです。
無段変速型は、用途に応じて回転速度を変えることができます。
3000~11000min-1の回転数を用途に応じて変えることができます。
BOSCH(ボッシュ) 無段変速型ディスクグラインダー
低回転で硬い素材を切断するとボディ内のモーターが熱を持つようになりますので、放熱対策で持ち手部分が太くなっているようです。
交換用ディスクの種類
交換用ディスク(研削砥石)には、用途別に様々な種類がありますのでいくつかご紹介します。
オフセット砥石
形状は研削砥石と似ていますが、ディスクの中央部分が隆起して外径部分が薄くなっている砥石がオフセット砥石です。
加工表面は粗めで金属素材のバリ取り、研削、研磨に使用します。
日立工機 オフセット砥石
フレキシブル砥石
適度な弾性を持った柔らかい砥石です。
オフセット砥石よりも厚みが薄く、2~3mmとなります。荒仕上げ用として、鋼や鋳物、石材などの平面や曲面の研削、バリ取り、研磨に使用します。
オフセットほど粗すぎず、粒度が粗い砥石(#番号が少ないもの)を選べば荒削りの代用もできるので、初心者やDIYはこのフレキシブル砥石から始めるといいでしょう。
日立工機 フレキシブル砥石
多羽根ディスク
ディスクの外周に沿って扇状の羽根(布やすり)が等間隔で敷き詰められたディスクを多羽根ディスクといいます。
金属素材では研削、研磨、サビ落とし、木材素材では研削や研磨に使用します。
羽根と羽根の間に空気が入るため冷却効果が高く、素材(木材)の焼き付きを防ぐ効果があります。
日立工機 多羽根ディスク
シースルーディスク
多羽根ディスクと同様にディスクの外周に沿って扇状の布やすりが並びますが、3か所に大きな隙間が入ったものがシースルーディスクです。
これは研削・研磨中に加工面が透けて見えるという特徴があります。隙間が入る分、耐久性は落ちますが、機能は多羽根ディスクと変わらず、放熱効果もシースルーディスクの方が優れています。
レジトン シースルーディスク
ナイロンディスク
砥粒が含まれるナイロン素材で弾力があり柔らかく、R面の研磨もできるのがナイロンディスクです。素材を傷めず、強力に研磨することができます。
塗装前の仕上げや鏡面前処理で使用します。
金属素材では表面研磨やサビ落とし、塗装はがし、木材素材では表面研磨、R部のサンディングに使用します。
ヤナセ ナイロンディスク
フェルトディスク
金属素材の鏡面処理、つまり総仕上げに使用するのがフェルトディスクです。
青棒や白棒といった油脂研磨剤をフェルトの表面に塗りつけて加工すると、キズのない鏡のような表面に仕上がります。
トラスコ中山 フェルトディスク
カップブラシ
ディスクグラインダーでは、ディスク形状とは少し異なるカップ形状の工具も取り付けることもできます。
カップの先端に銅線やステンレス線といった線材のブラシを回転させて研削・研磨します。金属素材だと黒皮はがしや塗装前のサビ取り・溶接ビート削り・鉄板の研磨などに使います。木材だと研磨・木目出しなどで使用します。
E-Value 剛腕カップブラシ
金属疲労で線材が飛び散ることもあり危険ですが、鋼線を捻った形状で線材が飛び散りにくくした形状のカップブラシもあります。
切断用砥石
名前の通り、金属の切断に使用するディスク形状の砥石です。砥石の外周だけを使って切断します。CDのような形状と中央部分が隆起したオフセット形状のものがあります。
砥石の厚さは1~2mmで、薄くなるほど素材の接触箇所が少ないため早く切断でき、切断面も薄いほうがバリが少なくキレイにできますが、その分耐久性は落ちますので、使用頻度や素材の厚みなども考えて選定しましょう。
レヂトン 切断砥石(金の卵)
切断専用の砥石ですので使用できる面は外周だけです。研磨用砥石のようにディスクの表面は使用できませんのでご注意ください。
ディスクグラインダーの注意点
ディスクグラインダーは非常に便利で様々な場面で活躍する一方、非常に危険な電動工具でもあります。きちんとルールを守らないと大事故につながりかねません。
特に注意が必要な点を次に挙げてみます。
従事者は特別教育が必要
労働安全衛生法により「研削といしの取替え又は取替え時の試運転の業務」が、危険又は有害な業務とされております。従って、ディスクグラインダを使う作業の従事者は、安全衛生特別教育を受けなければいけません。
メーカーや各教育機関の「自由研削用といしの取替え又は取替え時の試運転の業務に係る特別教育」を必ず受講しましょう。
使う前に試運転を行う
ディスクグラインダーを使い始める時はいきなり作業に入らず、使用前にディスクに割れがないか、砥石が歪んでいないか確認するようにしましょう。
少し空転させて異音がないか、正常に回転しているかも確認しておきましょう。
引火性物質の近くで使用しない
ディスクグラインダは高速回転で加工するため、大量に火花が出ます(特に荒削りする時)。引火性物質がないか周りを十分に注意して作業をするようにしましょう。
砥石カバーは絶対に外さない
切断用砥石を使ってコンクリートやレンガを深く切り込みたい場合など、砥石カバーに当たって思い通りに切断できない時があります。そんな時にこの砥石カバーを外して作業する人がいますが、この行為は非常に危険です。深く切り込むほどディスクは割れやすくなり、割れたときにディスクの破片が飛び散って大けがをしたという事故のニュースも過去にありました。砥石カバーは絶対に外さないようにしましょう。
まとめ
今回は現場で手軽に使用できる自由研削機械のディスクグラインダーについてご紹介しました。
グラインダーは種類が豊富にあり、最初はどれを選べばよいか悩むことと思いますが、回転速度が自由に変えられる無段変速型をおすすめします。
ちなみに私は、BOSCH(ボッシュ)のGWS7-100Eというディスクグラインダーを使用しています。電子無段変速で高速・低速を使い分けて使用しています。
BOSCH製品のグラインダーはすべてにサイドハンドルがついていて、私の手にフィットするので重宝してます。