製造現場の「旋盤(Lathe)」選定・導入において、どのメーカーを選ぶかは加工品質・信頼性・保守部品供給に直結します。この記事では、国内外で注目される旋盤メーカーを厳選紹介するとともに、「メーカー選びのポイント」「中古市場での価値」も現場目線で解説します。旋盤購入・比較・アップグレードを検討している技術者・購買ご担当者にとって、必読のガイドです。
目次
国内主要旋盤メーカー一覧と特徴
日本には100年以上の歴史を持つ旋盤メーカーが数多く存在し、それぞれに“強み”があります。ここでは現役メーカーのなかから、特に知っておきたい5社を紹介します。
- 創業:1889年/茨城県行方市
- 主な取扱機種:大型・中型NC旋盤、ホーニングセンター、横中ぐりフライス盤、汎用旋盤
- 強み:大型ワークの旋削・ホーニング組合せや専用機設計に対応。素材から製品まで一貫工程をこなせる顧客専用ライン構築に強い。
- 選定のポイント:大型盤で“高剛性・高能率”を求める用途で候補になる。

- 創業:1937年/長野県岡谷市
- 主な取扱機種:小型精密CNC旋盤、マシニング、専用機
- 強み:小径・長物素材や高精度部品加工に特化。無人運転システム対応の工作機械も手掛ける。
- 選定のポイント:精密小物・量産自動化用途で検討価値あり。

- 創業:1898年/愛知県丹羽郡大口町
- 売上規模:連結約3,812名(2020)/年商1,720億円
- 主な取扱機種:複合加工機、NC旋盤、マシニングセンター、研削盤
- 強み:日系四大工作機械メーカーの一角。高剛性・5軸制御・工程集約機に強みがある。
- 選定のポイント:多工程や高精度・高能率加工が求められる現場で第一候補。

- 創業:1909年/佐賀県唐津市
- 主な取扱機種:大型NC旋盤、大型研削盤、大型歯車加工機
- 強み:大型ワーク・重量ワーク・歯車用途に特化。船舶関連・建設機械部品などで活用実績あり。
- 選定のポイント:長尺・大径・高重量ワークの旋削用途に特化したマシンが必要な場合に候補。

- 創業:1930年/長野県北佐久郡
- 売上規模:グループ連結約2,000名/585億円(2019)
- 主な取扱機種:CNC旋盤、自動旋盤、マシニングセンター
- 強み:長物・高精度部品加工、小径部品加工に強く、モジュール構成で多工程化に対応。
- 選定のポイント:小径長物の量産、複合工程対応、小物部品加工の現場では有力。

消滅・吸収された旋盤メーカーと注意点
旋盤メーカーのなかには、事業統合・廃業・吸収合併などにより、現在では生産を行っていない企業も多数あります。中古機を検討する際は、部品供給や修理対応の可否が非常に重要です。以下の3社は代表的な例です。
- 活動時期:昭和期中心
- 主力機種:汎用旋盤、正面旋盤
- 特徴:当時は全国の町工場に広く普及した老舗ブランド。
- 注意点:メーカー消滅により純正部品は流通僅少。主軸ベアリング・ギア類は代替加工が必要になるケースが多い。

- 概要:愛知県の総合機械メーカー。過去に旋盤・フライス盤・ボール盤などを多数製造。
- 特徴:HOWA旋盤は剛性が高く、中古市場にも一定数残っている。
- 注意点:既に 工作機械部門は撤退 しており、部品供給は中古流通頼り。機械状態の個体差を要確認。

- 概要:現在は研削盤メーカーとして世界的ブランド。過去には旋盤も製造していた時期がある。
- 特徴:高精度志向で、精密加工現場に一定の評価があった。
- 注意点:旋盤事業は既に終了しており、旋盤に関する純正サービスは期待できない。部品供給も市場頼み。

⚠ 中古導入時の共通リスク
消滅・事業撤退メーカーの旋盤を買う場合:
- 部品供給が“ほぼ市場在庫のみ”になる
- 主軸・ギア・電装部品は代替加工が必要
- 修理依頼先が限られる
- 電装が旧FANUC世代の場合、基板確保が困難
価格は安い個体が多いものの、運用リスクは高めなので慎重な判断が必要です。
メーカー選定時のチェックポイント(現場目線)
メーカー名で選ぶだけでは不十分。現場で本当に役立つ旋盤を選ぶには、次のポイントを押さえておくべきです。
年式が古くても、メーカーが 部品を継続供給しているか を確認。
本社/サービスセンターの所在地と対応範囲。海外展開工場があれば、部品輸送や海外拠点での対応も可能。
- 年式が古くても、メーカーが 部品を継続供給しているか を確認。
- 本社/サービスセンターの所在地と対応範囲。海外展開工場があれば、部品輸送や海外拠点での対応も可能。
- 中古機械であれば、履歴・仕様変更・設置改造記録があるかチェック。
- CNC制御装置(例:FANUC 0i/0i-MF/21iシリーズなど)は、古すぎると部品供給・プログラム互換性に弱い。
- 社内技能者がその制御に慣れているか否か。操作環境・画面UIも現代的に使いやすいか。
- ベッド剛性・主軸回転数・チャックサイズなど機械仕様で「何が加工可能か」を把握。
- メーカーが自社製ベッド/主軸システムを持っているかで剛性や寿命が変わる。
- 同じメーカーでもモデル・グレードで差があるため、“型式”まで確認が必要。
- 国内メーカーであれば、国内外での流通数・リセール価値が高め。
- 海外ブランド機に比べて保守・運用面での安心感が強いケースあり。
- 消滅したメーカー機を導入する場合は、「拠点が消えている」「修理部品皆無」というリスク有り。
中古旋盤導入時のメーカー別目安活用法
中古旋盤導入を検討する際に「どのメーカーがオススメか?」という相談を多く受けます。以下が机上の目安です。
- 量産・多工程重視 → OKUMA・CITIZEN
- 大型ワーク/重切削対応 → IKEGAI・KARATS
- 精密小物・高速長物加工 → EGURO・CITIZEN
- 旧式機・ローコスト導入を狙うなら → 津田製作所など消滅メーカー機、ただしリスクあり
まとめ:旋盤メーカーの知見を味方に
旋盤という工作機械を選ぶ際、「メーカー名=ブランド力」も大切ですが、あなたの用途・ワーク・現場保守体制・将来性と整合させることが最も重要です。
記事で紹介した国内5社+消滅メーカーの注意点を踏まえ、以下を意識して選定を進めましょう。
- 保守・部品・アフターサービスで安心か?
- 制御装置・仕様が現場に合っているか?
- 中古機導入で資産価値・導入後のトータルコストを加味できているか?
この「メーカー選びの知見」が、旋盤導入成功の鍵になります。
次回は、“旋盤選定において型式別比較&価格相場” に踏み込みますので、ぜひご期待ください。


