NC旋盤(Numerical Control Lathe)は、プログラムに基づいて自動で切削加工を行う工作機械です。従来の手動旋盤と比較して、主軸回転数、送り量、工具移動、加工サイクルなどを数値で管理できるため、高精度で安定した加工が可能です。また、量産加工や複雑形状の加工にも強く、多くの製造現場で導入されています。
NC旋盤を扱う上で最も重要なのが「プログラム」です。プログラムはGコード(動作コード)とMコード(補助コード)によって構成されます。この記事では、NC旋盤プログラムの基本構造、コードの意味、よく使う命令、実際の加工プログラム例までをわかりやすく解説します。
目次
NC旋盤プログラムの仕組み:GコードとMコード
NCプログラムは「ブロック(行)」という単位で構成され、それぞれに加工指令が記述されます。基本構造は以下のようになります。
N番号(任意) Gコード X Z F MGコード(動作コード)
工具の動きに関する指令です。
- G00:早送り
- G01:直線補間
- G02:円弧補間(時計回り)
- G03:円弧補間(反時計回り)
- G96:定速切削
- G97:固定回転数切削
Mコード(補助コード)
主軸やクーラントなど、動作以外に関する指令です。
- M03:主軸正転
- M04:主軸逆転
- M05:主軸停止
- M08:クーラントON
- M09:クーラントOFF
- M30:プログラム終了
プログラムの基本構造
NC旋盤のプログラムは大きく4つのパートに分かれます。
初期設定(安全線)
G50 S2000
G96 S150
G00 X100 Z100加工開始位置への移動
G00 X20 Z2加工動作
G01 X0 F0.2
G01 Z-20加工終了・退避
G00 X100 Z100
M09
M05
M30よく使うGコード一覧
| Gコード | 内容 |
|---|---|
| G00 | 早送り |
| G01 | 直線補間 |
| G02 | 円弧補間(時計回り) |
| G03 | 円弧補間(反時計回り) |
| G96 | 定速切削 |
| G97 | 固定回転数切削 |
| G50 | 主軸回転数制限 |
| G70 | 仕上げサイクル |
| G71 | 荒加工サイクル |
| G72 | 端面荒加工サイクル |
| G76 | ねじ切りサイクル |
よく使うMコード一覧
| Mコード | 内容 |
|---|---|
| M03 | 主軸正転 |
| M04 | 主軸逆転 |
| M05 | 主軸停止 |
| M08 | クーラントON |
| M09 | クーラントOFF |
| M30 | プログラム終了 |
工具補正(T番号)の基本
NC旋盤では工具番号をTで指定します。
T0101この場合、01番工具+01番補正を呼び出すことを意味します。
座標系の基本:XとZの意味
旋盤の座標は以下のように定義されています。
- X軸:直径方向(直径で指示)
- Z軸:長手方向(ワーク奥行き)
Xは直径で指示する点が重要で、初心者が最も間違いやすい部分です。
送りの指定方法
送りはFで指定します。
- 例:F0.2 → 1回転あたり0.2mm
- 仕上げ:0.05〜0.15
- 荒加工:0.15〜0.35
荒加工サイクル(G71)を使ったプログラム例
G50 S2000
G96 S150
T0101
G00 X100 Z100
G00 X20 Z2
G71 U3.0 R0.5
G71 P10 Q20 U0.5 W0.2 F0.3
N10 G00 X20
N20 G01 Z-30 X0
G70 P10 Q20
G00 X100 Z100
M30プログラムの意味を解説
G71 U3.0 R0.5
荒加工の切り込み量と復帰量を設定します。
G71 P10 Q20 U0.5 W0.2
N10〜N20 の形状を荒加工する指令で、仕上げ余量を指定しています。
G70 P10 Q20
N10〜N20 の形状を仕上げ加工します。
初心者がつまずくポイントと対策
Xを半径で考えてしまう
直径指示を忘れると過大切り込みになるため注意が必要です。
早送りでワークに衝突
G00は速いため、加工直前は必ずG01に切り替えて安全に近づきます。
座標計算が曖昧
端面Z0を基準にすると理解しやすく安全です。
工具補正の番号違い
T0101 と T0102 を間違えると寸法ズレが発生します。工具番号と補正番号は揃える運用がおすすめです。
初心者向けプログラム作成の流れ
- 図面の把握
- 座標計算(X/Zの始点・終点)
- 工具選定
- プログラム作成
- ドライランで確認
- 実加工・微調整
まとめ
NC旋盤プログラムは、Gコード・Mコードの基本を理解すれば難しくありません。Xは直径指示、Zは長手方向という基本を押さえ、加工サイクル(G71・G70)を活用することで効率的で安全な加工が可能になります。この記事をきっかけに、より高度なプログラムにも挑戦してみてください。


