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Gコードとは?NC加工機を正確に動かすための“命令言語”
NC工作機械の動作は、すべて数値と記号で構成された「Gコード」によって指令されています。Gコードは工作機械の“共通言語”として、位置決め、移動軌道、加工速度、工具交換などの動作を細かく制御します。マシニングセンタやNC旋盤、レーザー加工機など多くの製造装置で利用されており、Gコードの理解は加工品質の安定化や段取り改善に欠かせない知識です。
Gコードは「G+数字」で構成され、加工指令を表します。一方で、主軸回転やクーラント、チャック開閉などを指示するのはMコード(補助機能)です。GコードとMコードを組み合わせることで、加工動作が成立します。
Gコードの基本的な考え方(モーダル/ワンショット)
Gコードには「モーダル」と「ワンショット」という2つの属性があります。これを理解しておくと、意図しない動作を防ぎ、安全なプログラム作成ができます。
- モーダルコード:一度指令すると、同じグループ内で別のコードに変わるまで有効
- ワンショットコード:その行(ブロック)のみ有効で、以降は自動的に解除される
例えばG01(直線補間)はモーダルで、G04(ドウェル・一時停止)はワンショットです。
よく使われるGコードと使用例
G00:位置決め(早送り移動)
高速で目的座標に移動します。加工は行いません。
G00 X100.0 Y50.0→ 工具を高速で(X=100, Y=50)へ移動
G01:直線補間(切削送り)
指定した送り速度で直線切削します。
G01 X120.0 Y30.0 F200→ F200(200mm/min)で直線切削しながら移動
G02:円弧補間(時計回り)
時計回り方向の円弧軌跡で切削します。
G02 X50.0 Y50.0 I10.0 J0.0→ 現在位置を基準に、中心オフセット(I,J)を指定して円弧加工
G03:円弧補間(反時計回り)
反時計回りの円弧で加工します。
G03 X30.0 Y80.0 I0.0 J20.0→ 中心(J方向=20)を基準に曲線で移動
G40:刃先半径補正キャンセル
刃物の半径補正を解除します。
G40G41:刃先半径 左補正
工具径補正を左側に適用し、プログラム通りの仕上がり寸法に調整します。
G41 D01→ D01の補正値を使用して、加工パスの左側で切削
G42:刃先半径 右補正
刃物を右補正して切削します。
G42 D02→ D02の補正値を使って右側補正で加工
G54:ワーク座標系の選択
ワーク原点を指定する座標系を選択します。
G54→ ワーク座標系1を基準にして加工開始
G90:絶対座標指定
プログラムの座標値を原点からの絶対値として解釈します。
G90 X100.0→ 原点から100mmの位置に移動
G91:相対座標指定
現在位置を基準に相対移動します。
G91 X20.0→ 現在位置からX方向に20mm移動
Gコードが動作する仕組みとプログラム構成
NCプログラムは通常「N番号 → Gコード → Mコード → X/Y/Z → 送り速度 → コメント」という形式で構成されます。GコードはCAMソフトから自動生成される場合も多いですが、手動編集や調整が必要な場面も少なくありません。
N10 G90 G54
N20 G00 X0 Y0 Z50
N30 T01 M06
N40 S1500 M03
N50 G43 H01 Z5.0
N60 G01 Z-2.0 F100
N70 G02 X40 Y40 I20 J0
N80 G00 Z50
N90 M30このように、Gコード1つ1つの意味がわかると、プログラムの読み書き・修正がスムーズになります。
Gコード学習と今後の展望
Gコードの習得には、座標系・補正・速度制御といった基礎理解が欠かせません。CAMで自動生成される場面が増えていますが、手動でプログラムを読めるようになることでトラブル対応が容易になります。
近年は次世代規格であるSTEP-NC(ISO10303-238)も登場しており、加工データの高度な統合管理が可能になることが期待されています。しかし現時点では、Gコードは依然として産業界の標準技術であり、その理解は現場の効率化・品質向上に大きく貢献します。
まとめ
GコードはNC工作機械を動かすための基本命令であり、加工品質・安全性・段取り効率に大きく関わる重要な技術です。主要なGコードとその使用例を理解しておくことで、プログラムの意図が読み取りやすくなり、CAM任せの加工から一歩進んだ“理解ある加工”が可能になります。今後もNC技術は進化しますが、その土台となるGコードの知識は現場で長く役立つ価値あるスキルです。


