NCのSコード・Tコード・Fコード|誰でもわかる!NCプログラムを徹底解説|工作機械のいろは

Sコード・Tコード・Fコードとは?

NC工作機械を動かすプログラムでは、GコードやMコードといった動作指令に加えて、主軸回転数・使用する工具・送り速度といった加工条件を細かく指定する必要があります。この条件設定に使われるのが、Sコード(回転数)、Tコード(工具指定)、Fコード(送り速度)です。加工品質や効率、工具寿命に強く影響するため、正しい理解が極めて重要です。

Sコードとは(主軸回転数の指令)

Sコードは主軸の回転数を指示するコードで、「S+数値」の形式で1分間あたりの回転数(rpm)を指定します。素材や工具径、刃数に応じて適切な回転数を設定することが、仕上がり品質や工具寿命向上につながります。

● 使用例

S1500 M03

→ 主軸を1500rpmで正転起動

S800 M04

→ 主軸を800rpmで逆転(反時計回り)起動

S0 M05

→ 主軸停止

Tコードとは(使用する工具番号の指定)

Tコードは使用する工具番号を指定するためのコードです。ATC(自動工具交換装置)搭載のマシニングセンタでは、T番号と工具マガジンのポケット番号が対応しています。Tコード単体では交換は行われず、M06と組み合わせて工具交換を実行します。

● 使用例

T03 M06

→ 工具番号3番に交換

T10
M06

→ 行を分けて記述することも可能(機械仕様による)

T05 ( φ8エンドミル )

→ コメントと併記すると管理が容易

Fコードとは(送り速度の指令)

Fコードは切削時の送り速度(フィードレート)を指定するコードです。多くの機械ではmm/minで指定されます。送りが速すぎると工具負荷が増え、遅すぎると加工時間が延びるため、素材や工具条件に合わせた最適なF値設定が必要です。

● 使用例

G01 X100.0 F300

→ X方向へ100mmを送り300mm/minで切削

G01 Z-5.0 F80

→ Z方向へゆっくり5mm切り込む動作

F1500

→ 送り条件を一括変更

S・T・Fコードの連携例

加工条件はS(回転数)、T(工具)、F(送り速度)の組み合わせで決まります。特に素材や工具径、加工の種類によって最適値が大きく変わるため、三者のバランス調整が重要です。

● アルミの荒加工例

T02 M06 (工具2番:φ10エンドミル)
S6000 M03 (高速回転)
G00 X0 Y0 Z5 (位置決め)
G01 Z-2.0 F800 (高速送りで荒加工)

● 硬鋼材の仕上げ加工例

T04 M06 (仕上げ工具)
S1200 M03 (低速回転)
G01 Z-0.2 F120 (低送りで仕上げ加工)

実務で気をつけるポイント

  • 工具交換後は必ず工具長補正(Hコード)や刃先補正(Dコード)を呼び出す。
  • 素材・工具径・刃数に応じてSとFを調整する。
  • 送りや回転数は試削で微調整し、最適条件を探る。
  • 制御装置(FANUC・Mitsubishi・Siemensなど)ごとに挙動が異なるため仕様確認が必須。
  • 切削音・振動・切粉の状態を観察し、条件が合っているか評価する。

まとめ

Sコード(回転数)、Tコード(工具指定)、Fコード(送り速度)はNCプログラムにおける加工条件の要となる重要な要素です。これらを適切に設定し、素材・工具・加工内容に応じて最適化することで、高品質な加工・効率的な段取り・工具寿命の向上が実現します。試削を通じて条件を調整しながら、自社の加工基準を整備することが、安定した生産につながります。