旋盤の切削条件|誰でもわかる!工作機械を徹底解説

旋盤による切削加工では切削条件というものがあり、切削速度(m/min)、切り込み量(mm)、送り量(mm/rev)を最適な値に調整する必要があります。

旋盤では工具の材質や素材の材質、工具と素材の取り付け方法、機械の能力によって適切な切削条件がほぼ決まっています。今回はその切削条件の求め方を説明していきます。

・旋盤の仕組みや種類、加工方法について知りたい方は こちら
・旋盤で使用する刃物(バイト)の構造や種類が知りたい方は こちら
・旋盤の仕様(加工サイズや送り量など)について知りたい方は こちら

 

切削速度

旋盤バイトで素材を削る周速度を切削速度といいます。この切削速度は、機械の主軸回転数と素材の直径から以下の式で計算することができます。

切削速度(m/min)=3.14 x 素材直径(mm) x 主軸回転数(min-1) ÷ 1000

例)主軸回転数が800min-1で直径50mmの素材を加工する場合、上記計算式に当てはめると切削速度は126m/minになります。

3.14 x 50 x 800 ÷ 1000 = 126m/min

 

切削速度は、加工面の粗さ・加工効率・工具の寿命に影響します。

切削速度が大きいほど加工面はきれいに仕上がり、短時間で切削することができます。逆に切削速度を小さくすると加工面は粗くなり、切削時間も長くなります。そのため切削速度はなるだけ大きくした方が加工面の粗さと加工効率は良くなりますが、工具の寿命は早くなるので最適な切削速度を見つけることが重要です。

最適な切削速度の指標として、個々の旋盤バイトに加工物に対する推奨された切削速度が決められていますので、メーカーHPなどで工具の仕様を調べてみるとよいと思います。

 

切り込み量

旋盤で加工する際に刃物が素材に当たる面積を切り込み量、または単に切り込みといい、mmの単位で表します。旋盤の場合は素材が回転しているため、素材の端に刃物を当てると反対側の端も同時に切削されます。そのため刃物が当たってる箇所の2倍の切り込み量で表すこともあります。

 

切り込み量が大きければ大きいほど加工時間は短くなりますが、刃物が高温になり加工面は粗くなります。工具の切れ刃に焼け跡がつくこともあり、工具の寿命にも影響してきます。

工具の素材や加工物の材質にもよるため、まずは少なめの切り込み量から徐々に増やしていき、荒削り・精密削りで最適な切り込み量を決定するのがよいと思います。

 

送り量

旋盤でいう送り量とは、主軸が1回転する間にどれだけ刃物が移動したかを表す距離のことです。送り速度とも呼ばれ、mm/revの単位で表し、次の式で送り量を計算することができます。

送り量(mm/rev) = 1分あたりの切削長さ(mm/min) ÷ 主軸速度(min-1)

例)主軸回転数が500min-1で、1分間の切削長さが120mm/minの場合、このとき主軸1回転当たりの送り量を求めると次の計算式から、0.24mm/revとなります。

120 ÷ 500 = 0.24(mm/rev)

 

送り量を大きくすると加工面は粗くなりますが、加工時間は短くすみます。
逆に送り量を小さくすると加工面は細かく(きれいに)なりますが、加工時間は長くなります。

「送り」には自動送りと手動送りがあります。外丸削りやテーパー削りをする場合は一定の速度で送れる自動送りを使います。端面削りをする場合は、削るにつれて直径サイズが変わっていくため手動送りで行うのが一般的です。

 

切削時間

切削の長さと送り量、主軸回転数がわかれば、切削時間を計算することができます。まずは送り量と加工物の長さから1分間の切削長さを以下の計算式から算出します。

1分間の切削長さ(mm/min) = 送り量(mm/rev) x 主軸回転数(min-1)

例えば、長さ100mmの素材を主軸回転数1000min-1・送り量0.4mm/revで削ると、1分間の切削長さは400mm/minになります。(式:0.4 x 1000)

算出した1分間の切削長さを次の計算式に代入すると切削時間が計算できます。

切削時間(min) = 加工物の長さ(mm) ÷ 1分間の切削長さ(mm/min) 

上記の例だと、100mm ÷ 400mm/min = 0.25minです。0.25分は15秒なので、長さ100mmの素材を主軸回転数1000min-1・送り量0.4mm/revで削ると切削時間は15秒かかるという計算になります。

 

まとめ

今回は旋盤の切削条件について解説しました。

旋盤に限らず、工作機械の加工で最も良い条件とは、加工時間が短く、工具寿命が長く、そして加工精度が良いことです。

最適な条件で加工するには、素材の材質、硬さ、形状、状態と工作機械の特性を理解し、最適な工具を決定し、効率的な切削条件を選定することが重要になります。

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