NC旋盤とは|誰でもわかる!工作機械を徹底解説

回転する台に加工物をとりつけ、工具(刃物)を押し当てて工作物を旋削する機械を旋盤といいます。その旋盤にNC装置を装備した機械をNC旋盤といいます。

今回はNC旋盤について書いていきます。

NC以外の旋盤について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

旋盤とは|汎用旋盤・NC旋盤の基礎知識から加工方法まで徹底解説

NC旋盤でできること

NC旋盤は、NCによってプログラミングされた順序に従って自動的に加工を行う機械です。

かつては汎用旋盤(普通旋盤)で手動加工していたため、0.01mm以下の誤差精度を保ちつつ、同じ製品を大量生産するには肉体的、精神的にもキツイものがありました。精度にバラつきがあり、仕上げにムラがあったのです。

しかしNC装置の登場で同じ仕上がりの製品を作ることができるようになりました。

1台の機械にかかりっきりになる必要がなく、一人で複数台のNC旋盤を同時に動かすといったこともできるため、生産性の向上につながります。

NC旋盤の構成

NC旋盤の基本構成としては、主軸台、心押し台、往復台、ベッド、刃物台、チャックといった汎用旋盤と同じ機能に加え、NC制御装置と各稼働部分を移動させるサーボ機能が付加されているだけです。

ただし、ベッドや刃物台の剛性は汎用旋盤よりも大幅に強化されていて、サイズもコンパクトになっている特徴があります。

主軸台

ワークに旋削回転を与える軸やモーター、回転速度の変速機の部分を主軸台といいます。

主軸の回転速度はRPMという単位で表し、小型機では10,000RPMを超える機種も多く出回っています。

NC旋盤は、モーターに主軸が組み込まれていている駆動方式となり、機械音の静粛性に優れ、サイズがコンパクト化されているといった特徴があります。

反面、内部に熱がこもりやすいため、熱を逃がす技術や冷却技術の開発が進んでいます。

刃物台

旋盤の切削工具を取り付ける部位のことを刃物台といいます。

NC旋盤では、この刃物台の形状が各社で工夫されています。

下記以外にも、ドラム型、星型、クラウン型といった刃物台がありますが、ここではメジャーな3形状についてご紹介します。

A.フラット型

汎用旋盤で使用されているのと同じ形状の刃物台です。

芯高調整はタレット型に比べて簡単ですが、工具は最大4本までなので、1回の加工でたくさん工具を使う場合は刃物台を交換するか、最初から別の種類を選択する必要があります。

B.櫛刃型

T溝付きの水平な台に工具ホルダーをセットして複数の工具を横並びに設置できるタイプが櫛刃型です。櫛刃型は他のものに比べて刃物台の旋回が無い分、繰り返し精度に優れていることが特徴です。

デメリットとしては、刃物が並ぶため工具のレイアウトや干渉に対する制約が大きいです。

C.タレット型

円筒形状部へ刃具を放射状に設置しているのがタレット型です。効率的に多くの工具が取り付け出来るので、1台の機械でさまざまな複合加工が可能になります。

刃物台の中では、一番多く工具を取り付けできるのが特徴です。

デメリットとしては、タレットの芯ズレの修正が難しいこと、特に内径ホルダーやドリルではズレによっては使えない場合が出てくる場合があります。
また、タレットの重量がでるため、各軸に高い剛性が求められ、櫛刃型に比べると、サイズ、重量、消費電力、価格、すべてが一回り大きくなります。

ベッド

自動化することが多い横型NC旋盤では、大量の切りくずが出るため、排出が簡単なスラントタイプのベッドが採用されている傾向にあります。スラントタイプとは、水平ではなく傾斜のあるベッドのことです。

重切削用の大型NC旋盤では、安定感のあるフラットタイプが採用されています。また、剛性を高めるためにコンクリートを詰め込んだベッドもあります。

チャック

旋削加工物を取り付けて固定する装置です。主軸にセットして使用します。

チャックの爪でワークを挟み込む機械式のものが多く使われています。

その他に磁気や真空式のチャックもあります。

正面旋盤ではチャックの代わりに面盤を使います。

A.スクロールチャック

内部にスクロール状の円盤が内蔵され、1か所のハンドル操作で3つの爪が開閉する

仕組みの旋盤用チャック装置です。

旋削する円筒形ワークを中心に取り付けることが容易で3つ爪、2つ爪が主流です。

B.インデペンデントチャック

スクロールチャックはすべての爪が連動して動作しますが、インデペンデントチャックは

各爪が独立して動作する旋盤用チャック装置です。

旋削加工物が円筒形でない加工物でもチャックの中心に取り付けることができ4つ爪が主流です。

C.コレットチャック

加工物をコレットという筒状の装置で挟み込むチャックをコレットチャックといいます。

爪で挟み込む旋盤用のチャックは、加工物との接地面積が狭いため、しっかり固定しないといけませんが、コレットチャックは加工物との接地面積が広いため、小さな力でもしっかり固定することができます。

まとめ

今回はNC旋盤の構成について、書いてみました。

さすがにまだまだ需要のある機械ということで、多くのメーカーが競合して独自の技術を出そうと開発が進んでいます。

たとえば刃物台を軽量にするのか、またはより多くの工具を取り付けできるようにするのか、また送り速度や主軸の高速化でより早く加工ができるかといったことが挙げられます。

次回は、NC旋盤の種類や製造メーカーについてまとめてみたいと思います。

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