旋盤の仕様|誰でもわかる!工作機械を徹底解説

中古の旋盤は市場に多く出回っておりますが、汎用旋盤については一昔前から高い機械技術が確立されており、状態が良ければ中古機械でも十分使用できます。

国内で使われた旋盤はメンテナンスが行き届いているものが多く、特に近隣のアジア諸国で人気があります。

そこで今回は旋盤を選定するうえで必要となってくる仕様やパラメータについてご紹介したいと思います。

旋盤とは何?という方は、こちらをご覧ください。

旋盤の工具について知りたい方は、こちらをご覧ください。

加工物のサイズに関係する仕様

ベッド上の振り

ベッド上に取り付けることができる円筒形素材の最大直径のことです。ベッドにより影響を受ける最大値を表しており、φ(フィー、ファイ)という直径を表す単位で表示されます。

実際には主軸に取り付けたチャックで掴むことができるサイズ制限も受けますので、チャックの制限と合わせて考慮する必要があります。

 

心間距離

主軸から心押し台の先端までの距離を心間距離といい、mmの単位で表します。センター間距離ともいいます。芯間と書く人もいますが、心間が正解です。

心間距離は加工物の最大長さを表すものですが、端面削りや外周削り、中ぐり加工する場合は往復台が干渉するため注意が必要です。

私の手元にある旋盤(ワシノ6尺旋盤)だと仕様値の70%くらいが加工できる範囲です。
※仕様値が800mmだけど、実際には600mmくらいが最大長。

 

横送り台上の振り

送り台を横方向に移動できる距離のことです。mmの単位で表します。

旋盤でいう横方向とは、心押し台のほうから主軸やチャックを正面に見た状態での横方向のことです。ブレーキペダルが踏める作業位置から見ると縦方向になります。

貫通穴

主軸貫通穴ともいい、棒状の素材を主軸の裏側に貫通できる穴です。貫通穴のサイズは、mmまたはφの単位で直径を表します。

素材を貫通させることで心間距離よりも長い素材を保持することができますが、チャックにも穴がありますので、チャック穴か貫通穴のどちらか小さい値が貫通できるサイズです。

 

主軸に関する仕様

主軸とは回転する軸のことで、旋盤の場合はチャックを取り付ける箇所が主軸になります。

フライス盤ではフライスやエンドミルなどの刃物を取り付ける箇所が主軸です。

主軸速度

主軸が1分あたりに回転する量をm-1という単位で表します。RPMという単位で表す場合もあります。25~1500m-1といった幅で表記されますが、細かい速度設定はできません。

 

主軸速度変速数

主軸速度を切り替える変速数のことで、主軸回転数変換レバーにより12段や16段といった切り替えが可能です。

主軸部分に主軸回転指示表があるので、主軸速度変換レバーを操作して設定したい速度に最も近い速度の段に切り替えます。

 

主軸用モーター

主軸を駆動させるモーターの出力電気量をKWの単位で表します。旋盤の稼働に必要な電源容量の目安にします。

 

送り量に関する仕様

送り量とは送り速度ともいい、主軸が1回転する間に刃物が何mm動くかというものです。mm/revという単位を使います。

自動送りの変速数

自動送り量変換レバーにより変換できる自動送りの速さ切り替え段数のことです。

最近の機種では自動送り量変換レバーが2個あり、24段や32段といった微調整がきく仕様が多く発売されています。

縦送り量

作業者の加工位置(ブレーキペダルが踏める場所)から見て、往復台が左右に動く方向の最大距離をmmで表します。

外周削りやテーパー削りで使用する向きの送り量です。

横送り量

作業者の加工位置から見て、往復台が前後に動く方向の最大距離をmmで表します。

端面削りや溝入れ加工で使用する向きの送り量です。

刃物台移動量

刃物台が移動できる最大量をmmで表しています。厳しい精度が求められる加工を行う場合は、刃物台を移動させることでより繊細な加工ができます。

刃物の最大寸法

刃物台に装着できる刃物工具の最大サイズ(厚さ)をmmの単位で表しています。

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旋盤特有の言い回し

旋盤の大きさを示す表示として、5尺旋盤や6尺旋盤といった「尺」を使った呼び方があり、現在でも中古機械業界ではよく使われてます。元々旋盤のサイズは尺で示すことが多かったため、現在でもその名残が残っているようです。

1尺は約30cmで、旋盤のベッドサイズを尺で示しています。ベッド上の長さが1500mmだとしたら5尺旋盤ということです。主軸頭から心押し台までの心間距離のことではありません。

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まとめ

今回は汎用旋盤の仕様について説明してみました。

機種の選定する際には、ベッド上の振り心間距離は、加工できるワークサイズを決定する重要な指標となります。

NC旋盤の台頭で汎用旋盤を販売するメーカーは全盛期に比べたらかなり減っていますが、教育や試作品の製作などでこれからも使われるので、旋盤の知識を身につけておくことは重要です。